『後方の兵たちに追わせますか?』
いや、いい。彼らだけで行かせては統率も難しいだろう。
それに……もう人間の足じゃ追い付けないさ。
[後はせめて、弓兵が事態に気付いて逃げ出すことを祈るしかない。
石の他に漁網やら何やら持ち込んでるというから、上から投げ付ければ幾らか相手の足を乱せるはずだ。
しかし、少人数で小回りの利く相手だ、接近は避けられないだろう]
せめて……せめて俺たちは、少しでも戦力を削ぐことに集中するんだ。
次へ託すために。
[手の震えを押さえるように、短槍を一度強く握り直した*]