早く、情勢が落ち着いて…
旧友の誰とでも連絡がとれるようになればいいのになぁ。
俺の元ルームメイトとか、何処に行ったかもわかんねーや。
それに、帝国と公国に分かれてしまった恋人たちも
きっと水面下ではたくさんいるんだろうね…
[ そんな話を実家でふと漏らしたとき。
夕食のサーモンクリームをつまみながら、父が言った。
――そうだな。時間はかかるだろうが…。
――いつか国交が良好になる時は来ると思うぞ。
――その頃になれば、話したい相手といつでも何処でも話せる
まさに魔法のような魔器が、開発されてるはずだ。
――この世から、さみしさをほんの少しだけ減らす魔法だよ。
まだ、父が開発している魔石通信機のことは知らない時だった。
父は、魔法使いのように、悪戯っぽく笑っていた。** ]