……ギィ様。我が術と言えど十分な準備も出来ずに、最期に咄嗟に掛けたもの。術の効果に多少の揺らぎはあるのです。恐らくは、そういうことかと。[主の見たものが何であるかを推測し、そのように淀みなく答えた。確かにこれもまた、事実の一面ではある。表情も普段のもので、特に変わりはない。しかし、声音に悲哀の色が滲むことまで、完全に止める事はできなかった。ごく僅かなことなので、気づく者も少ないだろうが]