[……けれど、至近距離で見た彼の顔に奇妙な既視感を感じて、セルウィンは目を瞬かせた。
そういえば、この家は何度か言葉を交わした事のある、ご近所さんの先輩の家だ。
他愛無い世間話をしたり、まだ音楽への熱意に満ち溢れていたころの静寂がヴァイオリンへの志を語ったりした事がある先輩である。
長い銀髪に聖職者風の魔女衣装。
変身しているため、パッと見の印象は別人のようだ。
……でも、その面差しは確かに、記憶の中のそれに重なる]
……あッ。
[まじまじと彼を凝視してから、ようやっと彼が誰なのか把握した。
この家から出てくるわけである、何しろここの住人なのだから]