[今よりも互いがずっとずっと小さかったころ。
遠い昔から家同士のつながりはあって。
傍にいる事が当たり前すぎて『ふーん、そうなんだ』、程度にしか当時少年だった青年は思っていなかったし、今もそう思っている。
ただ、家の役割としてだけではなく、自分にとって、
とても『だいじなもの』だから『護らなきゃ』という意識は強くあった。
ある時、アイリと共に街へ遊びにいった際に、『なにか』にだいじにしているアイリの命が脅かされた。
それが何だったのかは、わからない。
わからないけれど、だいじを奪われることが、なにより許せなくて、
『なにか』の攻撃をアイリの代わりに受けた。
……その結果、怪我をした自分より、アイリの方が大泣きし、困るという事になったのだが。]
『……大丈夫、痛くない、痛くないよ』
[アイリを安心させるため、そう伝えながら、帰ったのだが、その夜、しっかり傷が熱を持って魘されることになったのは、余談**]