人狼物語−薔薇の下国

329 絶海島奇譚


  ローレル

[デッキの中でも人通りの少ない場所まで歩き、頬杖をつきながら大海原をじっと見つめていた。
潮風に吹かれ輝く水面を暫くぼうっと眺めていたが、思い出すのは過去のことばかり。


独占、嫉妬、後悔、悲哀――。

何故、あの時あんなことをしたのか。あんなことを言ってしまったのか。
喧嘩した回数は決して少なくなかった。でも仲直りするのも早く、何時もの様に、数時間、長くても数日経てば自然に仲直りできると思っていた。

それは、ただの甘えであることを知らずに。
失ったものは、戻ってくることもなく。

頬が塩辛い水で濡れ、頬を伝う塩辛い水は光を浴び淡く輝く。

濡れたのは、海水が飛んできたせい。
塩辛いのも海水だから当然。

ただ不思議なことは、濡れた頬を何度拭っても、濡れてしまうこと。]

(159) 2015/04/23(Thu) 00:02:14

SWBBS V2.00 Beta 8++ あず/asbntby