[―――くらり。
レストランへの道中、一瞬視界が揺らいだ。]
……?
[思わず立ち止まって瞬きを幾つか。
こんな立ちくらみ程度でも、感じたのはもう10年ほども前のこと。
だから何が起こったのかわからなかった。
――それが体の不調であること。“ミル”と“リンク”してる身では起こりえないことであることも気づけない。
それはもこもこの生物も同じで、気づけなかった。
女に極微小な粒子が降り注いだこと>>117。
それは恋天使に選ばれた、ということ>>116。
女の首筋―――“恋人”と同じ場所に、桃色の5弁花の痣が生まれたこと。
それが影響で、共生生物との“リンク”が弱まったこと。
それら全てに。今はまだ。
身体に若干の不調を抱えながらも、は、と気づけばラヴィを追いかける。
まだ会ったこともない“恋人”へと会うために。*]