「人狼なんて、いると思う?」[サシャがこの話を切り出す。人狼、か……。僕は、今回の事件で初めて人狼の存在を知った。人狼についてなんて何も知らない。自覚症状がないと言われても、自分の脳に生物が寄生しているだなんて考えられない。他の皆も、同じように普通の人にしか見えない。「私、どうしても私たちの中に『人狼』がいるなんて信じられなくて。」というサシャの言葉に深く共感したが、現実を受け入れられず、何も言葉にできなかった。]