―回想・宿へと至る道すがら―[鉛色の空に押し潰されそうになりながら雪道を歩く。雪は未だ降り続け、世界を覆い尽くさんばかりだ。そんな白い世界の中で、少女の纏う蜂蜜色のマフラーだけが唯一色彩を持っていた。蜂蜜色はエルナがリゼットに似合うと選んでくれた色。陽光を受け、鮮やかに輝くあの花を思い出させる色。――そう言えば、あの金色の花の名前は何だっけ?不意に、昨日の教会でのことを思い出した]