[湖の話は予想以上に興味を引いたようで、
目を輝かせて行きたがる様子に、紹介したこちらの方が嬉しくなってしまって]
おー、それじゃあ今日行ってみるか!
天気がいいから、きっと眺めも最高だろ。
俺も、町を出る前に一度ちゃんと見ておきたかったし。
え、飯まで奢ってくれるの? やったあ!
[なんて、無邪気に喜びつつ。
旅慣れしてなくてたどり着けるか心配――などという胸の内は知らないものの、
連れだって道を歩きながら、
あの店のパンは美味しいだとか、
向こうの店の品ぞろえはなかなかだとか、
実に賑やかに道案内をしたものだ。
――いや、自分もね、一人旅が長かったものだから、
誰かとどこかに行ったり、話をしたりというのが、
それはとても楽しかったのです。]