「その後、都合が合えば、艦の責任者との会談と、船内駐留のアースガルド軍の関係者との会談。
先ほどとは逆に、会談というクローズな場では、少しずつ、連邦がなにかを探っているような動きを匂わせる。
しかしこれもあくまで匂わす程度です。相手が勝手に動揺し疑心暗鬼に陥るよう仕向けるのが狙いです」
[そううまくいくものか、と思わなくもないが、いつもの政治的な駆け引きと同じと言えなくもない]
「ひとまずは以上です。もし機会があれば、すでに船内に間者が紛れ込んでいるかもしれず、接触が取れれば、とは思います。うまくいけばでよいですが」
[そこまで聞いて、彼は回線を切った。億劫そうにアビィの手を払い、ベッドに下ろしていた重い腰を上げる。いくぞ、と一言だけアビィに投げつけ、スイートルームを出る。
ホテルの玄関では、今頃、船の案内人らが待機しているころだろう]*