[握られていない手を掛け布からゆっくりと引き抜き、反対の手を握る幼馴染の手を取る。掌を上に向けさせると、指でその上にゆっくりと文字を書いた] 「……声、出せなくなったみたい」 「原因は、まだ分からないの」 「一時的なものかもしれないし、もしかしたら───」[指は、そこで止まる。涙は零れていなかったけど、苦笑を浮かべながら泣きそうな表情にはなっていた]