…………。
[縛の内で感じ取るのは、術の紡ぎ手に宿る天の加護。
大天使の術を持ってしても、掻き消えてはいなかったのか、と。
過るのはそんな思いと]
……きみに、加護を与えたものは。
相当な負けず嫌いでもあったのかねぇ。
[ぽつりと落ちたのは、そんな呟き。
糸の源たる左の腕は完全に使えず、翼の動きもだいぶ制されている。
さて、どうするか、と思案を巡らせつつ、影は自由な右の手に力を集める。
果たさねばならぬ命がある。
故に、ただ堕ちるを受け入れる事はできない。
ならば、と思いながら影は呼吸を整えた。*]