― リオレ島東方海域/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
ようこそ、ヴァイスメーヴェへ、ファミル殿。
[ 男の考えた通り、ファミルは条件を呑んで、ただ独りカモメへと乗り込んできた。
その彼女を家名を外した名で呼んだ男は、彼女が船を離れる前に、数人の民間人とは些か趣の異なる男達が、止めようという仕草を見せたのも双眼鏡の中で捉えていたが、それに関しては黙したままでいた>>149 ]
ストンプ候も、どうぞこちらに。
[ 男が甲板から艦長用の来客室に二人を案内していく間、ウルケルの兵達のうち、ファミルを見知った者や、事情を知る下士官等は、突き刺すような視線を彼女に向けてきた。だが、男は事前に、罵声ひとつでも浴びせたものは三日間の営倉入りを命じると告げてあったから、実際に声をあげたり手出しをしようという者は居なかった++ ]