[しかし、セルウィンがヴァイオリンの音色を響かせるより早く、残る三体も粘り強い勇者の魔法によってジェムへと変わった>>117
さすが勇者、アヴェを前にして自らの身を犠牲にするだけの愛と勇気に満ち溢れた魔女である。
今にもヴァイオリンを弾きそうなポーズで固まったまま、私の見せ場、とセルウィンは項垂れた。
一刻も早くアヴェ云々の間抜けな印象を払拭したいのに、どんどんそういうキャラとして定着しつつある事実が恐ろしい……!]
『せるうぃん、無駄じゃ。流れに身を任せよ。さすればおのずと道は開かれるであろう……』
何の道ですか!
貴女それ、重々しい事を言ってみたかっただけでしょう……!?
[流されてなるものかと声を荒げて抗議してから、ここが勇者の御前であることを思い出し、セルウィンははたと目を瞠る。
すみませんお見苦しい所をお見せしました、と勇者へ謝罪してから咳払いした]