― 数日前・首都カルボナード ―
陛下は壮健であらせられます。
閣下のことも、陛下からよく聞かされておりますよ。
[海軍提督の昔語りに、少し表情を動かした。
会ったことがある、とは皇帝の口からも聞いている。
その時の人物評は心の中に留めてあったが、実際にこうして相対してみると聞いた以上の相手だった。
油断ならない相手だと思う。
例えるならば、海のような。
凪いでいるときは機嫌がいいが、ひとたび動けばあらゆるものを押し流す。
こういう相手は、なるべく怒らせずに済ませたいものですが、とは内心の弁。]