[少女はヨアヒムが少しだけ苦手だった。何故なら彼の青年らしい少し乱暴な喋り方が、どうしても伯父と呼んでいた男と仲間を思い出させるからだ。けれど、そんなちっぽけな苦手意識と古い本への興味がせめぎ合った結果] あの、……この本、なんて題名なんですか。 ……何だか、気になるんです。[おずおずと、ヨアヒムに本の題名を問いかける。好奇心は猫を殺す――昔、何処かで聞いた警句を思い出しながら]