─ 城内: 通路 ─
[ 悲鳴を上げても、手を引く蔦の強さは変わらない。 ]
はな……、離しなさい。
けがらわしい。
[ どこへ連れて行こうというのか。
いずれにしても魔物のすることだ。恐ろしい場所に違いない。
ユーリエの手を捕える野茨の蔓。何故かこちらに触れて居る部分は滑らかだが、
その先には鋭い棘が生えている。
こちらから握ってやれば、その棘はユーリエの皮膚など簡単に裂くだろう。 ]
……!
[ 痛みを予想し、ぎゅっと目を瞑って逆手を伸ばそうとした時、
不意に蔦の動きがとまった。
数歩たたらを踏んでから、ぺたりと床にお尻をついた。 ]