― デメララ・収容施設 ―[建物への工作のため殿に回っていたこちらへ、列を外れた男が一人、近付いてきた。 どうかしたのか、と問う声は飲み込む。 それは――喉の大きな傷を除けば、よく知った顔だったから] とう、さん……![呼び掛けに、相手はゆっくりと頷いた。 思わず飛びついて、強く抱擁を交わす。 事情を悟った周囲の人々は、見て見ぬ振りをしてくれた]