………クロイツ…おじさま……
………ご無沙汰しております……
[仮眠室の外を通る姿を見留め、思わず目を見開く。ベッドから降りれば仮眠室の扉へと向かい、いつものように深々と頭を下げた。
母の10程下の妹の旦那様──とは言え、妹の方は後妻の子、母とは腹違いではあったが──つまり、女の叔父に当たる。
季節の折の挨拶程度の付き合いであったが、3年前にこの村に来てからは、森に逃げて帰るのが遅れてしまった時に何度か救ってもらった。
───カークさんが言ってたという軍人さんってクロイツ叔父さまだったのね……
下げた頭を上げる。
痣は隠しようもないが、今更仕方ない。
そもそも既に気付かれていることかもしれない。]
叔父さまも……ご無事でしたのね……
[うら若い彼を叔父さまと呼ぶのは本来であれば抵抗があったことだろうが、幼い頃からそう躾けられ、それ以外の呼び方には馴染まなかった。
小さく首を傾げ、安堵の表情を浮かべる。]