[嵐が3日続き、救助の見込みもなく、これはさすがに死ぬと思った。
水だけは空からいくらでも降ってきたものの、身体は冷えて動かず、同乗の者はみな海に投げ出されて消えていた。
荒れ狂う波に小舟も破壊され、板切れ1枚にしがみ付いていた3日目の夜が過ぎ、打って変わって穏やかに晴れた4日目の朝に流れ着いたのが、トルーンの町はずれだった。
あの時、己を見つけて介抱してくれた少年は、順調に育っていればもう立派な青年になっているだろう。
或いは、志願兵として、剣を手に向かってきているのかもしれない。
皮肉だな、と片頬を歪めた。*]