…ご存知でしょうか、姫殿下。
[男は再び柔和な笑顔を、浮かべた。底の真意が窺えない微笑を]
然して姫殿下の御威光は、暁の曙光の様に清らかで清浄。
気が早い臣民などは、既に深く姫殿下をお慕いして、そう。
当代の巫女姫は、姫王の祖霊を継ぐ『王』たる資質に溢れている。
この現世に帰還なされた、姫王陛下の、『御親政復帰』は近いと。
それは勿論、そう、ユレ殿もご承知の事かと存じますがともあれ。
我等臣民一同、姫殿下の更なるご活躍を期待しておるのですよ。
[羽の微かな音色に惹かれて、天を仰ぎ見ると、瞳に映るは太陽。
そして春風をその翼沢山に孕んで、自由に、優雅に、その遥かな高みを旋回する鳥が、風に吹かれて青の遥かへと飛翔し続けて行く様が見えていた]