[放心したペーターに、家に帰るより宿に向かったほうがいい、とカタリナの父親は促した。虚ろな目で彼を見つめて、機械的に首を縦に振る。だってそれ以外に、どうしていいのかわからない。送り出されるまま足を踏み出して、外の吹雪の中にまろび出た。数歩だけ進んで、呼び声に振り返る。玄関から飛び出してきたのはカタリナの母親で、その手に一冊の日記帳を持っていた。これを預かっていて、と手渡されて、目を瞬かせる]