[その際、ふとソマリの腰にかかるレイピアが目に入った。>>113
あれは、何年前だったろうか。
暴動を起こした同僚を容赦なく切って捨てた刃。
それに参加しようとしていた自分を押し留めたのは彼だった。
確かに、結果的にクーデターは失敗し、反逆者は全員処刑された。
今でも、不自由とはいえ命があることを喜びと
何故死という自由に逃げられなかったのかという絶望。
感謝する気持ちと理不尽な怒りをぶつけてしまいたくなる気持ちがぶつかり合うときがある。
それでも、同期である彼の手を自身の血で汚してしまわなかった事に安堵する気持ちは偽りのない本心である。
それらを飲み下して]
それじゃ、また後で。
[そう言って薬草園へと歩を進めた。
もし何か採ってきてほしいと言われれば頷くだろう。]
―中庭→薬草園―