[これからすることを思えば、アビィの護衛だけで安心はできず。
彼は手のひらほどのサイズの護身銃を懐に忍ばせる。
スタンガンと無反動弾の切り替え式だ。
例の噂が真実だというのならば、この船にはすでにそれを狙う何者か……革命勢力のものや、あるいは海賊の間者などが紛れ込んでいる可能性はある。
あるいはことの次第によっては。船内船外にとたむろしているアースガルドの軍人連中さえ我が身を脅かす可能性がゼロではない。
……そんなことをすれば、それこそ連邦が黙ってはないことくらいは理解していると思いたいが。
乗船時に説明のあったガーディアン・システム>>36なども、どんな判断を下すか知れたものではない。
れっきとした議会議員である自分よりも、その胡散臭いなんとやらを優先保護対象とみなす可能性も大いにありうるのだ。
所詮はAI。知性ある純粋生命体の従属物、仮そめの知性にすぎない。
それは、この私の所有物であるドロイド・アビィも同様に。
最後に身を守れるのは自分だけなのだ、と。
命の危険などとはすっかり縁遠い身分でありながらも、従属物に身を委ねるつもりはない。
彼の矜持は屈折したものだろうか。]