うん。だって、貴方は色々な国を見てきたのだろう?私は、この国のことしか知らないもの。貴方の知ってる、異国の話を聞かせてよ。[それから時折出会う青年に、少年は熱心に話をねだった。思えば、彼に会いたくて随分と街に通ったものだ……ゆえに、街を出歩く技術はこの頃に磨かれていったともいえる。それはともかく。砂漠や雪原、大海原に険しい山国。それらの話を、少年は目を輝かせて聞いた。見知らぬ風土に見知らぬ風習。時には目を丸くして、時にはころころと笑って彼の話を聞いたものである。]