―サロン―[床を見れば血痕が今も残る。すでに渇き赤黒く変色したものに興味も欲も抱かない。けれど吸血鬼としての欲は消しきれはしない。血のきょうだいとなったバルタザールを思いだし考えるように眉を寄せた後、深い息を吐き出す。] アレクシス殿は野茨公のために動けばいいと言われたが 忠誠を尽くす“子”はひとりで十分なのではないですか。 私は――、此処を去るべきか。[此処より他に身を寄せる場所などないと分かっていても考えずにいられないのはこれまでの依存を自覚したから。]