― 第二王子私室/少し前 ―
[久しぶりに見た士官候補生の硬い表情を詮索することはない。
それはここ最近の状況を思えば仕方ないのかも知れなかったし、或いは別の事情であるにせよ、それを追うまでの余裕はウェルシュにはなかった。
だから彼女の言葉>>150に返すのは、短い同意の頷き。
労いを終えれば、そのまま退出を許すはずであったが。
続く言葉>>151に、ほんの一瞬……僅か一瞬、動きが止まる。]
……、"噂"か?
[低く落ちる呟き。
その次の瞬間、穏やかにあったヘーゼルの瞳に烈光が閃くいた。
サッと顔を向ければ、咎めたてる視線が彼女へと向かう。
向けた顔に浮かべられるのは、明確な怒りの表情で。]