その手もそいつが、か。
珍しいな。天下の《死神》が手傷とは。
[開閉される左手を一瞥し、無意識に自分の胸に手をやっていた。
服は着替えていたが、下には包帯が巻かれている。]
……連中がやれることは、たかが知れている。
奴らが本気で勝つつもりなら、私を殺すしかない。
だから、私を使ってもいいよ。
その方が、私が直接連中を潰せる。
[炙り出すなら、皇帝を囮にしてもいいと笑う。
今の帝国は、勝ち続け版図を広げ続ける皇帝に民が熱狂しているからこそ、国の形をたもっている。皇帝がいなくなれば、民の不満が噴出して国が壊れるだろう。
それをわかっていながら、最前線に立ち続けるのだった。]