─ ただひとつのもの ─
[天を墜とすべく煌めいた破滅兵器の光は、迎撃に投下された匣を巻き込むように照準をずらしていた。
圧倒的な暴力同士がぶつかりあい。白銀の空を覆った烈光は天なる匣の9割ほどを破壊し、そのまま白銀の天宮の端を穿った。
降り注ぐ天の鉄槌は残された地上に死と破壊を撒き散らすだろう。多くはそのままツィーアの上へと落下し、彼の塔や射出翼を大破させたが]
…あの軍勢の首を、殺してくる
[魔王の座す玉座は護られてあった。
魔王カナン・ディ=ラーグの後ろに控えていたアーデは微笑んで、翼を広げる。
魔物の記憶と融合して改良を重ねてきた人形は既に、無二の騎士となっていた。
黒鴉族から取り込んだ翼は銀の輝き帯びるほどの漆黒]