全部に決まって…ッ…い
[気に入らない所なんて全部だ全部と言ってやりたい。
麻縄で無理矢理両手首を拘束したり、おまけに首にまで巻き付けた上に水で濡らして締め、苦るしむ様子を眺めて楽しむような――。
そんな人間に、王子に。
このベリアンという男が信頼を寄せているらしい事が、ディークには理解できそうになかった。]
……――は…っう
[背中をなぞられて、伸びない背筋がぴりりと固まる。
どうやら"お茶会に行く"と言わない限り、解放してくれ無さそうだ。
でもここで屈する程、悔しいことはない。
『お茶会になんか行かない』と叫びたいのに、唇から零れる言葉は上手く出てこないのだ。]
――い……、クッ
[『行かない』と、言ったつもりの言葉は。
けれどベリアンの指から与えられた痛みによって噛みしめたせいで、真逆の意味を発してしまった。]