[相手が己の従華たらぬとわかれば、氷華の興味は他へと移る。
男の方も、蓮魔と彼が僕と定めたらしい相手へと視線を向けていた>>131。
その場を辞そうとした際、入れ替わりのように二頭の獣が軍服の男へ歩み寄る>>135]
狼……?
四君子の残る一華が連れ添いか。
[眉間にあからさまな不快を刻み、瞳合わせる男と対照的に数歩を退いた]
獣は好かぬ。
[男へ歩み寄る狼たちは、野生とは異なる聡明さを宿してはいるが、その有様はやはり人間よりも剥き出しの生に近くある。
生命の持つ熱を厭う氷華にとって、獣は人や植物よりなお不得手とする存在であった]