失礼。お一人でいらしたいのなら、この場所は適当な
選択ではなかったようですわ。
今宵の主賓が、こんな所においでになってよろしいの?
[噴水の影から歩み出、先客の存在を自ら知らせる。
周囲の待遇に倦んだ言葉>>135>>136は、鋭敏な耳に届いていた。
けれど、選んだ言葉は気を利かせる心算などない、幾分疲れを抱えた自身のためのもの。
首尾よく両親の目を盗み、人里まで忍んだというのに、これでは同族の閉鎖的な社交の場と、まるで代わり映えがしない。
女の出自は、その純血を保つために、血族間での婚姻を繰り返してきた一族だ。血の濃さゆえか、当代の夫婦はなかなか実子に恵まれず、半ば諦めの末に得た娘を大切に育てた。
居城の近くに幾度か人間の侵攻を受けてからは、幼体の娘を、自ら狩りに出させる事もなく]