阿呆め、真に良い酒ってぇのは、
俺みたいなヤツにも味が分かるようなもんだ。
……あ?足りねぇ?
一体どんな幻の国から取り寄せたんだァ?
[>>144金が足りないと言われれば男はへの字に口を曲げる。
取り出した札は、2番目に大きな金額が印字されていた。
今までこれを超える商品を取引したことはない。
狂った味覚でも美味い酒が飲めるならば、もう一枚足そうかポケットに手を伸ばすが、僅かに残った常識が、それはダメだと警告を出す。]
お試し価格っつーことで、もう少し負けろや。
なんなら、後でお前さんにも分けてやってもいい。
[最終的に、差し出した札で事足りるまで値切って男はアルビンから酒を手に入れた]
ありがとさん、またヨロシクな。
[落とさないよう、酒瓶を赤子のように左腕で抱える男の顔には
良い買い物が出来たと言わないばかりの笑みが浮かんでいる]