[振り翳した爪先から肉に食い込む感触がする>>148。
苦しそうに名前を呼ぶ声に、苦しみの中で快楽を覚える。
そのままそこで誰にも赦されず、誰にも殺されず。
ただただ見ていればいい。
それが裏切り者の末路だ。
それがせめてもの俺の復讐だ。
吹っ飛ばした方向へ薄く嗤い、噛み殺そうと意識をエレンに戻せば
目の前に現れたのは1匹の獣>>140。
響く咆哮。
時間の流れが遅く感じる。
“誰”だこいつは。
何が起こったかはわからない。
わからないが、もう止められない。
相手の首筋と自分の喉笛に、まともに食い込む牙同士。]