[彼の血は人の身に強すぎるのだ。神の創造にも等しい血統に踏鞴を踏んで、着地を無様なものに変える。微かな血を浴びただけで、己が抱える力は、今すぐにも解き放ちたいと、魔が右腕を震わせる。彼の血は、――――身に甘い。生きとし生ける者全てにとって、極上の、苛烈なまでの甘露であった。] ――――く、ぅ…っ、ぐ…ッ、[彼の血の詳しくは知らない。だが、その血に纏ろう呪いは使徒の研究を続ける教会にとって、喉から手が出るほどに魅力的なもの。されど、まさか、これほどの物とは思わなかった。]