[>>84「おー」と言いながらぶつかった拳には、歳の差も性差も出自も違うのに不思議と仲間意識が感じられる。
なお小声で紡がれた言葉には半目で「グマの心がげじだい」と返しておいたが。
マーティンから逃げるように離れた後、一度だけ足を止め何となく手を頭に乗せてさする。
大丈夫だとか泣くなとか、褒められた時に与えられていたのと同じ、てのひらの温もりはサシャに思い出と、確かな思いの欠片を乗っけてくれた。
隠すように逆に唇をへの字に曲げたまま、足はチャールズを探し進む。
きっと皆無事に帰ってこれるの確信するような、強い声を背に投げられた声もあり、振り返りはしなかった。]