―現在:ストンプ―
[『坊ちゃん!』夢の目覚めは聞き慣れた声。重い瞼を起こすと、見慣れたおじさんの顔がとても近いところにある。加齢臭が漂いそうなほどに詰められた距離に驚き、慌てて身を引く。]
うわぁ! ……ルシエルナガっ、近いよ!
[涎の海から顔を上げ、身を起こすと、汚れた頬をナプキンで拭く。
『そんな所で寝ないで下さいな。風邪ひきますよ。』
呆れた調子でルシエルナガは領主を見つめる。]
ごめん……
[デッキの上でつい寝てしまうのはウェルシュの悪い癖である。夏場ならまだしも、今の季節では風邪をひいてしまうだろう。
しかしウェルシュにとってはそんな事は大した問題ではない。惚れ惚れとした様子で新作の船の上を歩きながら、]
でもこの調子なら、もう直ぐ完成だね!
[具合を確かめる。
ストンプの港町は報せを聞いてからと言うものの、大盛況だった。
船大工は精力的に船を作り、故障していた船を直し、軍にいつでも提供できるよう手配をしている。また、軍が休めるよう迎賓館や病院を解放してある。]