[蓋をした幼い記憶、母の病、そして巡礼の旅で、その想いは確信に至る。自ら命を絶つことは大罪であるから、世を儚んだ者たちを旅の中で『救って』きた。狂っていると言われるかもしれないが、男は至ってまともだ。生きようと――生という贖罪を続けようとする者の命を奪ったことはないし、奪うつもりもない。生きる望みを無くし、絶望の中でもがき苦しむ者に、死という救済を与えていただけのこと]