― 太古の樹海 ―
>>50
[声がした。
誰かを探している声。聖職者、リヒャルト。
ああ、そういえば、さっきの黒い仔犬をもった人の名をきいただろうか。
もうひとりの修道士らしき人物は、ジークムントだと、覚えてはいたが。]
聖職者、…ああ、司祭みたいな人を探している人もいました。
この魔界は、聖職者を今、飲み込んでいるのですか?
[振り向き、杖の輝きがその男へ流れるのを見る。
そう、人にはない、引き寄せ。
彼は、人、にしては、引き寄せる。]
すみません。
聖職者らしき言葉を投げる人にはさっきあいました。
けれど、名は…。
[樹海の空は赤黒く、ゴゥと風は巻いた。]