(>>142)
空腹分には足りそうですか?味は、上等とは言えないと思いますが。
[自分の分の軽食を、ショルダーバッグに詰めると、幾分柔らかい口調でダーフィトに話し掛け]
それでは、他に何かご用件がなければ、わたしは此れで。何かお困り事があればまたお声掛けください。
[常の口上に踵を合わせ背筋を伸ばすと、敬礼をして背を向け踏み出す。踏み出して。]
あの。有難うございました。
[もう一度振り返ると、これは軍隊式じゃない礼をして、その場を去った。何に礼を言いたいのか本人もよくわかっていなかったが。多分、自己嫌悪にただ陥りそうな自分を、ダーフィトが意図せずともその方向を変える切っ掛けを与えてくれたことか。軍靴の音が響く廊下を進むと、洗面室を通り掛かり、少し迷った後、扉を開けて入った。]