― 回想・3年前のある夕方 ―
[小学生の頃からすでに、父親と同じく医者の道を目指していた少年。
絵に描いた様な優等生。
欠点といえば、運動が苦手な事と、真面目すぎる事くらい。
そんな少年は、その日も放課後に図書館へと立ち寄り、何冊かの本を借りてから、自宅を目指していた。]
[通い慣れた道、なんともない筈だったのに。
中央通りに差し掛かる頃、強い風が吹き抜けて、少年のキャップを攫っていった。]
あっ……!?
[少年は、キャップを追いかけ中央通りを駆け足で横断していく。
向こうから大型トラックが走ってきていることに気づかないまま。]