人狼物語−薔薇の下国

467 【SF人狼騒動RP村】 Sleeping Silver SheepA 〜愛はさだめか、さだめは死か〜


考古学者 ロー・シェン

 
[ 人間一人の能力や人格、
品性に至るまでが国家の基準で判断されるヴィヒレアにおいて。
"兄"に劣ると判断され、"兄"にもしものことがあった場合の
スペアとして生かされていることは当然なのだと思ってきた。
優れた遺伝子が残り、劣った遺伝子は淘汰される。
全ては優秀な人間を選別し、育成し、種の繁栄に務めるため。
そう聞かされて。教えられて育った。

兄が死んだという報せを持って母星に帰ったとき、
先ず優秀な才能を持つ人間が死んだことが嘆かれて、
次には"弟"が生き残ってしまったことが嘆かれた。
何故身を呈して庇わなかったのかと詰られさえした。
一個の"天才"を作り上げるためにどれだけの労力を支払ったか。
そんなことは逐一説明されずともよく、わかっていた。

自分が死んで、"兄"が生きていれば。と。
考えずにはいられなかったけれど。
その頃にはもう、頭の中に巣食った何かが
都合の悪い思考回路を弄っては変えてしまっていたから
死ぬほどの絶望は味わわずに済んだ。

それが幸運なことであったのか、
不運なことであったのかは学者にはわからないままで。
何時しか"兄"の死すらも大したことではなかったかのように
知らないうちに書き換えられてしまったその後には、
周囲の冷たい視線の意味すら気付けば思い出せなくなっていた。* ]
[ 生きたいと希う原始的な欲求を密かに脳の中に刻み込む
  …何かの"意志"をはっきりと自覚することはないままに。 ]
 

(153) 2017/01/23(Mon) 08:49:45

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