[ 二週目の少年テオドールにとって、
母親が存在ごと消えてしまったことはショックだった。
あらかじめ聞かされてはいたものの、
実際に体験するまで、実感はなかった。 ]
[ 独身の父親を見るのは複雑だった。
母がいなければ、父はこういう人生を歩んでいたのかと思うと、奇妙な感じがした。 ]
[ けれども、マリーのことは好きだった。
マリーは優しくて、気丈で、美しかった。
母じゃなくても、マリーとなら父が結婚しても許せると思った。
それを打ち明けたら、マリーは真っ赤になって何か言った。
内容はよく覚えて居ないが、悪い感触ではなかったと思う。 ]