― 教会・聖堂前 ―[なす術もなく立ち尽くしていた人々の、足下にあった紅の円が唐突に消え失せた。騎士と双子の吸血鬼の戦いに魅入っていた者たちも、自分たちが解放されたのに気がついた。どさりと地面に投げ出されて、石工は失神から目覚めた。身を起こし、呆然と聖堂を眺める。拳で地面を打ち殴り、号泣し始めた。ふと、赤子の泣き声がした。親を探す子供の戸惑う声が聞こえる。]