[巫女の奇跡により国が救われた―― そのような喧伝が、すぐさま神殿の者によって行われた。 国民の感謝と崇拝の声が、巫女自身に向けても届いてくる] ふふ、奇跡――か。 まだここに立ち入ったことさえないのに。[『神魔の領域』の入り口で、ざわめく森を見ながら呟く。 独りになりたいからと言って、人目を避けつつ歩いてきた結果、辿り着いたのがここだった。 まるごと聖域扱いとされているせいか、国の者も滅多なここではここに近寄らない]