[だから、楽隊を指揮するように、指先を持ち上げた。バルコニーに絡みつく蔓のいくつかが首を持ち上げ、先を騎士へ向けながら、ゆらりゆらりと揺れる。これだけでも気を散じさせる程度の役には立とう。ただの脅しと無視するならば、生きた槍に貫かれもしよう。このくらいのハンデでちょうどいい、と満足の顔。]