[少女は俯いて、耐えるように、ぎゅっと唇を引き結んだ。自分は、――…巫女姫だから。結界も宝珠も“在る”ことを具体的に知っている。その力を信頼も出来る。けれどそれらから縁遠い一般国民にとっては、結界も宝珠も、手に取るように“在る”と断ずることは出来ないだろう。抽象的な事柄を信頼して、完全に背を預けよというのはおそらく―――きっと、難しい。それが分かるから、 分かったから、――――… 悔しい]