ー甲板ー
うっはー!すっげー!船、でっけー!海もでけー!
[豪華客船の甲板にて、頭の緩そうな事を叫びつつはしゃいでいる少年の姿が一人。
頭から生える真っ白な耳をピンと立てて、両手を広げながら眼前の海を見つめるその瞳は、この旅への期待から満面の輝きを放っている。]
…あ、そうだそうだ。海に来たからには、これはやっとかねーと。
[と、何を思ったのか少年は、まだ幼さの残る顔に悪戯っぽい笑みを作ると、少なくとも見える範囲に人がいないことを確認してから口の横に両手を添えて大きく息を吸い込み…]
…海のばっきゃろーい!!
[おもむろに、そう叫んだ。海からすれば、いや、回りの人たちにとってもさぞ迷惑なことであっただろう。]**