[はぁっはぁっと、息を吐き出して、だらりと弓を持った腕が落ちる。ぼろっと零れた涙は、乗せすぎた感情の忘れ物。祈るように天を仰ぎ。ようやく……ようやく、くしゃりと笑う。彼に最後に見せた、引き攣った笑みではなく、情けなく眉は下がれども、心からの笑顔を。] ねぇ、スノウ。 あのバイオリン、シメオンから取り上げないでくださいね。[もし傍に、白い優しい猫がいたならば、そう頼み。毛並みをふわりふわりと撫でただろう。もし彼が目覚めたら、歌いながら弾いてもらう"約束"だから、と。]